Wi-Fi(無線LAN)には、周波数を2倍使って通信速度を高める機能(倍速モード)が備わっています。そこで今回は、Wi-Fiルーターの設定を変え、通常モードと倍速モードの通信速度を測定し比較しました。
「倍速モード」というのはWi-Fiルーターメーカーのバッファローの呼び方で、正式には「チャネルボンディング」という技術です。
チャネルボンディングとは
通常、Wi-Fiの電波は20MHz(メガヘルツ)幅の周波数を使っています。チャネルボンディングはそれらの電波2つを合体させ、40MHz幅の周波数を使って、より高速な通信を可能にする技術です。
実験方法
- 通常モード(帯域20MHz)で、回線速度と電波強度を測定。
- 倍速モード(帯域40MHz)で、回線速度を電波強度を測定。
- 通常モード(帯域20MHz)で、隣の部屋にて回線速度と電波強度を測定。
- 倍速モード(帯域40MHz)で、隣の部屋にて回線速度を電波強度を測定。
なお、今回は2.4GHz帯の電波を使用しました。
使用ルーターはアイ・オー・データ機器の WN-AX1167GR2 です。ルーターの管理画面から無線設定>詳細設定と進み、使用する帯域(2.4G)で20MHzか40MHzかを選ぶことができます。
実験結果
1. 通常モード、同じ部屋
回線速度も電波強度も十分な値です。この値が基準となります。
2. 倍速モード、同じ部屋
帯域を40MHzに設定し、倍速モードにしました。下の図より、Wi-Fiチャネルの幅が2倍になっていることがわかります。しかし、回線速度は変わりませんでした。
3. 通常モード、隣の部屋
隣の部屋へ移動し、同様の測定を行いました。電波強度は落ちてしますが、回線速度はほとんど変わっていません。
4. 倍速モード、隣の部屋
さらに帯域を40MHzに設定し、倍速モードにしました。下の図より、Wi-Fiチャネルの幅が2倍になっていることがわかります。しかし、回線速度は変わりませんでした。
実験結果一覧
ダウンロード | アップロード | 電波強度 | |
通常モード・同室 | 55.2 Mbps | 53.6 Mbps | -39 dBm |
倍速モード・同室 | 55.4 Mbps | 53.1 Mbps | -40 dBm |
通常モード・隣室 | 46.4 Mbps | 51.9 Mbps | -56 dBm |
倍速モード・隣室 | 45.9 Mbps | 52.3 Mbps | -56 dBm |
まとめ
- 2.4GHz帯で倍速モード(帯域40MHz)にしても回線速度は変わらない。
- 電波強度が落ちても一定の値を超えていれば、回線速度は低下しない。
今回取り上げた2.4GHz帯におけるチャネルボンディングは、他電波との干渉の確率が上がるので推奨されないとする報告もあります。確かに今回の実験ではチャネルボンディングの効果は確認されませんでした。
特に複数の端末を2.4GHz帯繋ぐ場合、通常の帯域20MHzのモードを使ったほうが良いのですが、その辺はルーターが勝手に設定してくれるはずです。そのルーターの動きも後日実験してみたいと思います。
5GHz帯を使った場合の同様の実験も行っていますので、明日記事にします。
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